【短歌の日通信】投稿作品をお届けします(4月10日〜13日分)
おはようございます、短歌の日です。
たくさんの投稿作品、ありがとうございます。このメルマガでは #短歌の日 というハッシュタグをつけて投稿してくださったみなさんの短歌作品をご紹介しています。短歌の日はたくさんの参加者のみなさんのご協力によって成り立っている企画です。短歌の日公式Twitterアカウント https://twitter.com/tankanohi からさまざまな短歌企画の情報を発信しておりますのでメルマガと合わせてぜひフォローお願いいたします。
今回は、4月10日〜13日までの投稿分をお届けいたします。がんばって追いついてまいります!
■『#短歌の日』参加作品(4月10日)
投稿いただいた作品は、音声での読み上げもさせていただいております。
【短歌朗読】作品紹介 4月10日分 https://note.com/tankanohi/n/n12c9953a4cf3
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言い分は置いとけ 直ちに止めるんだ 腹が減るから無駄の極みだ/森内詩紋
僕達は違う生き物のままでいい相容れなくてさいわいなんだ/河岸景都
枝しなるほどのブーケを差し出して 我を祝福する八重桜/Nowsiika
おやつ缶届かぬ棚に隠された愛を疑う たかが煎餅/ぴぃねぃ
Queenか太陽なのか悩ましい最近ちょくちょく遠くへ行くね/ぴぃねぃ
寂しくて言い争うは肌寒くサクラ散る夜ハグしたいけど/碧 ❥ 罪の香り
許さない絶対絶対許さない赤いペンキの字は生乾き/鈴鹿茉莉
パレードの主役みたいに歩く帰路イヤホン挿してYUKIを聴く夜/艶宮
YUKI『揺れるスカート』
冷と暖空が争い起こす風綿毛は揺れて領土広げる/短歌点
四つ折りじゃあかんのですか折り直し折り直ししてヨレヨレの紙/柳田ぽかぱん
イントロの気配で既に泣いていた茜色ではなかったけれど/まつのせいじ
フジファブリック『茜色の夕日』
避けてきて溜め込ませては爆発す諍いよりも質が悪くて/何となく短歌
するほどの価値を感じて暮らしたい「あつぱれよからう敵がな」ってさ/何となく短歌
草芽吹く松ぼっくりはやさぐれて気にしないで行け追い越して行け/ぴぃねぃ
好きなんて口が裂けても言えないやなのに瞳は雄弁でした/遠藤ミサキ
頸筋は見えてしまうから脇腹のあたりを吸って鬱血させた/遠藤ミサキ
愛されるものから争いの火種に変わり子は子でなくなっていく/青蒼紺碧
CoCo壱を食べられるだけ強いひと何故ならそれはアレルギー無いから/足軽猫乃心
この壁を超える扉がここにある透けて靄るが興味津々/とし
片腕がちぎれたように痛い(笑)巣立つ私に母からのLINE ひと粒の種/赤い実
山折谷折繰返したまま開けずにいる 過去、扉、明日/しろとも
詐欺みたく見せない面はあるけれどあなたがそこに居るから見えない/ひの 朱寝
この屏風隠しているがちから尽く倒して挑む甘い寝床に/とし
三つ折りが得意なきみに代わってと不器用なふりして話しかけてる/とひろ
折り畳み引き延ばしては握りしめこのメモ捨てるバラバラにして/とし
両親の出会い阻止して消えながらタイムマシンが路上駐車だ/原田 冬
腕に噛みついてじゅうっと吸い上げる愛情表現黒猫ライラ/原田 冬
黒ソフト帽に散る雪おしみない喝采浴びた痕跡めいて/原田 冬
三つ折りの便箋開くその度に空へと抜ける君の文香/たんかちゃん
たからものみたいに大事に三つ折りにされてあなたのポケットに居る/カシサキスイ
群青と名付けた人よ群れをなす青ととらえた透明な目よ/原田 冬
すうすうとえりあし2ミリ撫でていく冷たいその手北の春風/ぴぃねぃ
水葬に花がないとは彼の色あせた鎖骨にせめてすみれを/原田 冬
バナナを一房隠したよ黒くなる前探しておくべし/ょし
晴れ渡る日常共に募らせる我が子を思う届かぬ気持ち/田中ダニエル
しくしくと痛む脇腹体より痛いところがあるはずなのに/とびら
あれたべたい! なんでもおいしく つくれちゃう おだいどころの まほうつかいさ/汁ミクスの2号店
古ぼけた屏風に描かれたいきものはひとが居ぬとき抜け出している/きいろ
めちゃくちゃに泣けど遊べど忘れじのあなただけが友達のままで/ダブルート
山折りと谷折り二つ折るだけで柔き薄紙立つ不思議さよ/宇津帆アルマ
すうすうはきみの寝息の音でありもちろんかわいい髪の毛のきみ/小長井 涼
魚肉には牛乳パック便利なりまな板代わり重宝するなり/ピーナッツ
誰にでも表と裏の顔があるそのどちらもが本当の顔/ピーナッツ
夫婦なら浮気ご法度言い訳は詭弁だらけで信じられない/ピーナッツ
わが生活に必要ない物体無くても不便を感じたことない/ピーナッツ
出戻りは肩身が狭く居場所無し三年余りの月日の重たさ/ピーナッツ
次女の死でどっと増えたは白髪なり浮気で増えた吾の顔の皺/ピーナッツ
ねぇあたしあなただったら良かったと悪びれもなく唐突に君/夏西マグマ
滅ぼした世界を雑にミウラ折りあっという間に陽はかがやきて/清水水晶
考えていないと言えば嘘になるおまえにかける呪詛の長さを/萩原 アオイ
薄墨の刷毛で描いた雲流れ色を失う空をただ見る/何となく短歌
真っ新な色紙折れば時として山あり谷あり深き爪痕/お由美
理想から離れるばかりの人生で持ってる地図も意味がないよな/薫子
すさむ身を鈴虫の音に澄ませたり縋る思いで救いを願う/一筆居士
七回忌父を弔う読経にて母の声なお強く響けり/一筆居士
華やかな華燭の典にそっと立つ無くてはならぬ金の屏風は/藤本くま
おひさまの下はいつでもあたたかくたったひとりでも歩いていける/🐰日下 一行*🦋📌
現世ではあなたの姓になれぬから結婚するまで好きだったひと/萩原 アオイ
憎らしくて愛くるしい人母の作る丸くて大きなおにぎりが好き/アサコル
ずる休みしよっかこんないい天気無駄にしてたらバチがあたるよ/高水りっか
世の全て言の葉に乗せ届けたい一言居士の一筆啓上/一筆居士
随分と頑張ったんだね酢キャベツのようにこんなクタクタになって/とうこ
星々を繋ぎ星座を描くよう輝く点を短かき歌に/短歌点
小さくて物悲しくて切なくて希望が少し夕方が好き/小タ
「好きです」のすが喉奥から出てこない告白は失敗繰り返す告白は失敗/アサコル
開いたらもう戻せない折り紙のいのちをひとつ奪いましたね/高水りっか
ずっとずっと一緒にいるって言ったのに嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!/アサコル
シュウマイにしましょう今日は包みたい気持ちだったの何でもいいから/萩原 アオイ
ずいぶんと散らかっている僕の脳ゴミが多いが断捨離苦手/小タ
愛し子は酷いイジメで心病み生きる力尽き自死を選んだ/ピーナッツ
短歌の日だからといって案の定うまく行かないまた指を折る/塩川
曲折が多くあるほど強く立つ似ているものね紙も我らも/しばねこ
何一つ吸い込んでない朝空に両足使って描くずる休み/宮城直
虐めた子ら愛し子の自死知らぬままのほほん生きて絶対許せぬ/ピーナッツ
言い合える内が華だと空っぽの花瓶が少し泣いて言ってる/歩
思い出のパンフレットを捨ててく夜 恋が去ってく音ってこんな/歩
これからは本格的に動けるぞ学校生活謳歌したまえ/何となく短歌
あ、メガネ変えたね吾が言い気づくのは君くらいだと恋人は言う/夏西マグマ
小3で背が低いからあだ名され縦には伸びず横に拡がる/ち_い_く_ぼ
降るものが雪に変われば雨女卒業ですか 今日も雨です/高水りっか
ずっとだよ一緒にいると思ってた書き置き一つ男のもとへ/ち_い_く_ぼ
夕暮れに残る足跡 こんな日も必要だって肯定してる/高水りっか
一隻の屏風に秘めたひとつうた紡ぐしらべの明暗いずこ/一福千遥
ずっこいって何だよと言ったらもう全部どうでも良くなる僕たちの仲/あかべこかなは
ずるいなあそれじゃ絶対断れない手伝い頼む息子の甘言/あこちゃん
「おかあさぁん、みて、おれたー!」って持ってくる正体不明のステキな何か/森内詩紋
痛みから救ってくれたこと忘れず胸に刻むよアサコールという名/アサコル
筆名(アカウント名)の由来はアサコールってお薬の名前から。今は別のお薬飲んでるけど一時期とてもお世話になったので…
首を長くして待っているよ 通販で買った商品まだ来ない/松本桃英
あの日から君に何度も書いている手紙は文字にする事はなく/ぶぎょう
純粋 富と繁栄 裏切り花占いで祈る今日かな/はゆさく
■『#短歌の日』参加作品(4月11日)
投稿いただいた作品は、音声での読み上げもさせていただいております。
【短歌朗読】作品紹介 4月11日分 https://note.com/tankanohi/n/ncde64a2ad974
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あの人もあなたを好きだと知っていて優しい人柄知ってもいるから/藤本くま
あの人も突きつけられた回り道火傷の跡はインテリジェンス/ナルシマアンバイ
水面に浮かんで息をしていると何も聞こえず別の世界へ/水の眠り
あの人もあるいてた道なぞってく桜がひらりやがて睡蓮/みや
あの人も駅に置いてきたのだろう 傘も指輪も名前を消して/さく
可能性は透明であってほしいの なくても気付かなくていいから/透可
あの人も赤ちゃんだったときがある電車に詰められたサラリーマン/とうこ
あの人もみんなに内緒で短歌とか詠んだりするかな、するわけないか/透明
街なかでもし呼ばれたらどうだろう小さな「ぃ」ってどう聴こえるんだろ/ぴぃねぃ
※推し活友だちに頂いた大事な名前、お気に入りです。
あの人も知恵を絞っているのかな会ったことない短歌のお仲間/ち_い_く_ぼ
朝シャンハンドクリームブレスケア夜まで続く昼間の香り/はゆき咲くら
あの人も恋に破れて悲しみを知り愛しく思い悦びを知る/ち_い_く_ぼ
ずっといた今知ったけどいてくれた消える時だけきらめくなにか/原田 冬
彼の人も望む恋路を引き返し届かぬ腕の擬さ哉/ぱさ
あの人も泣くのだろうか皺のない制服、リボン、伸ばした背筋/カシサキスイ
就職先決まったんだと鶏が嬉しそに鳴く屠殺場の前/萩原 アオイ
路地一つ隔てた異界の幸福の語り届けよ千里遥かに/一福千遥
消えないで見えないようにつけた痕恋が空へと還る日までは/カシサキスイ
忘れたい過去の悪夢を見る僕にすこやかな睡眠をください/カシサキスイ
昼の使いは春の嵐を巻き込んで知的な遊びを開けんと試してく/はゆき咲くら
家を出る私に向かって「傘」と言う天気予報より正確な母/たちばな
右折して入るマクドに対向車渋滞してる少し通して/とし
あの人もひとりの夜は惣菜が安くなるのを待っていそうだ/たんかちゃん
それいいねどこか遠くの海に行く?サンドイッチと秘密を持って/カシサキスイ
随心院の小町も良けれど厨子に手を合わす如意輪観音/一筆居士
朝が来てタオルケットを脱ぎ捨てて子供をやめる 夜が恋しい/遠藤ミサキ
※高水りっかさんの歌ほんと好きです
その粒の小さき雨の長く降るそのあとのいつ消ゆる偏見/小長井 涼
鰥泣くわびしからねどただ耳の揺れたるばかりなり死なばや/耳と涙
あの人も優しい心あるのかな尖った心垂れ流すだけ/小タ
あの人もラムネの瓶に指入れてビー玉取れず 諦めたのか/最終回少年
新緑が生きよ生きよと降ってくる僕の涙を見ないふりして/新新新
「恋人と人間らしく過ごしたい気分になったので休みます」/王里林檎
初恋の人の名前をむにーって横に伸ばして王里さんです/王里林檎
「さよなら」の「さ」が鋭くてもてあますふりませたらよかったのかも/とわなり くおん
ずる賢い獣の悪さ是非もなく仏の心知らぬ者なり/田中ダニエル
初めから覚悟の上だ後少し御前の熱い秘所は貰った/とし
あと十日で生まれ変わる牡羊の欠け磨かれし研がれ見せまし/はゆき咲くら
薄墨の雨がそぼ降る公園で濡れゆく髪は白髪が増えた/何となく短歌
たどりつく先にはいつも閻魔さま「またお前か」とお咎めはナシ/萩原 アオイ
あの人もこうしましたか思い出を私の色で塗り替えていく/高水りっか
路地裏に「みゅう」と鳴いてる寂しげな猫の秘密を知りたくはない?/みゆう
たどりつくウネウネ登っててっぺんだ我がふる里の樽前山よ/ぴぃねぃ
たどりつく場所もみえずにもがいてる雁字搦めで沈むくらげは/みや⚡水也💙
たどりつくまでに重ねたたくさんの嘘を棺に納めて眠る/カシサキスイ
たどりつく場所を失くして舞い戻る手紙に光る特殊切手/高水りっか
たどりつく国旗に誓って絶対に見つけてやると拳握りて/朔夜
たどり着く着かないの問題じゃなくて狭間を吸い込め借方/宮城直
あの人も僕とおんなじ顔してる三番ホーム午後10時半/とひろ🛰
継ぎはぎの心を抱え生きていく綻びたらまた治せばいいさ/ち_い_く_ぼ
ツンドラの言葉の響き好きかもね響きだけだよ寒いの嫌い/小タ
たどりつく戦い敗れ落武者が、僕戦わず、僕逃げるだけ/小タ
たどりつく君を遠くで見ていたら味わえなかったこの感情に/えびらい
たどりつく知らないことがある所知らないふりをしているだけで/水の眠り
たどりつく場所はあるのか無茶振りを捌きながら真っ暗な窓/とうこ
悔やんだり悔やまなかったり転職を繰り返してきて常に新入り/何となく短歌
悔やんだり悔やまなかったり経験は無駄にならない全てが生きる/何となく短歌
悔やんだり悔やまなかったり新入りの割に見えてる全体像/何となく短歌
悔やんだり悔やまなかったりとはいえど履歴は綺麗にするのがお勧め/何となく短歌
あの人もたまに死にたくなって夜、散歩しながらコーヒーを飲む/あずり
たどりつく洗車機濯ぐ花の粉明日は黄砂に吹かれましょうか/まるよ
あの人も幼き日にはいとけなく笑えていたと証する皺/一福千遥
あの人もマスクしたまま笑ってるあなたの魅力半分隠して/あら野草
グリス塗る血色悪き唇を染める貴方の手はグリコーゲン/何となく短歌
グリコーゲン健康からはかけ離れ意識遠のき掴むグリップ/何となく短歌
グリップになった腕持つ青年に喫茶店で奢るグリーンティ/何となく短歌
グリーンティ一人静かに飲み干して出ていく前にピンクのグリス/何となく短歌
つまらない両想いなんて心臓の隅の隅まで痛いよなんで…?/アサコル
僕と君溶け合うような朝に居る歯を磨きコンタクトするまで/かたゆでたまご
雑貨屋で不意に出会ったアクセサリ何を選ぶにも君基準になる/夏西マグマ
あの人も隠してるのね 木漏れ日が透かした尻尾はラッドでくねる/有無 春破
あの人もきっと誰かの一番であたしどうして一人ぼっちで/歩
はちみつの隠し味までバレちゃってたまごサンドときみがやさしい/高水りっか
せめてものかわいいパジャマを選ぶ夜 ホットミルクで今日はおやすみ/高水りっか
木漏れ日を踏んだ温度を忘れてる革靴馴染むくたびれた足/かたゆでたまご
あの人も100年経てばあの世行き遅いわ俺も召されちゃうだろ/つぐみざき あさひ
あの人も気になった言った言葉や動作もう僕の目に映ってしまった/加藤莉子
たどりつく 本の最後の ページまでおじゃましますと 染み込む余韻/甘衣 君彩
陽は昇る希望のように無慈悲にも普遍の顔で灯す言の葉/つぐみざき あさひ
春色の休暇届は受理されて手を繋いだらどこに行こうか/高水りっか
あの人もいずれ去りゆく散る桜踏まれた泥に混じる花びら/ヒアソビ
強がりは損と知ってて本当は大丈夫?って聞かれたかった/高水りっか
あの人もおんなじ毒を飲んでれば薬出せるのに あ、いらない側?/レーディ
見えすぎて解ける魔法もあるようで曖昧なまま君を愛した/高水りっか
あの人も覚えているかな初めての告白嬉しお前が好きだ/ピーナッツ
公園の広場に花びら散らばって地上に広がる桜星団/Nowsiika
「勝手に怒って出ていっただけだろう」そっぽ向く君にプリンアタック/月摘仁
手なれないふたりで重ねゆく道はどちらを向いてもきっとよかった/まゆだま
あの人もどうせ私を選ばないどうせ死ぬまで私はひとり/コピラのたまご
あの人も同じ夢を見てるかな明日朝答え合わせしてみよう/Makana
あの人もスワンボートに乗るのかな花散る水面抜けてくのかな/森内詩紋
作るより誰かが作ってくれたご飯味は二の次なんでも美味しい/📎あこちゃん📎
あの人も同じ寂しさ抱えててだから一緒にたくさん笑う/🎧Lily。
三面鏡覗き込んでは書き込んで左右対称をつくる執念/月摘仁
5メートル先のあなたその視界に入れず消えていく砂のよう/ナルシマアンバイ
知らぬ間にこんなに老けて醜くて鏡を見ては嫌悪を感じ/小タ
■『#短歌の日』参加作品(4月12日)
投稿いただいた作品は、音声での読み上げもさせていただいております。
【短歌朗読】作品紹介 4月12日分 https://note.com/tankanohi/n/n9cc918a1b80a
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翳る日の憂いの深さ晴れる日の心の軽さ見つめ続ける/ぱさ
変わらぬを十や二十や三十年続けてとても遠くまで来た/宇津帆アルマ
ゆで卵あだ名が付いて色白な人になりたかった人生だった/水の眠り
Facebookひとの目できわ描かれてかそけきかたち取り戻しつつ/清水水晶
素敵だと思いながらも近付けば目を閉じるから恋は暗闇/たんかちゃん
あの人もどうせ死ぬしな、そうやって諸行無常を信じてねむる/なれり
脱衣所の磨りガラスより声すれど額の他は点描である/𝘾𝘼𝙇𝙊𝙏𝙔𝙋𝙀
眉毛とか口のまわりも産毛とか濃くなってきた野生に帰れる/藤本くま
原野にて青の小さな広がりは小さなしこりも薄めましょう/水の眠り
憎んでた鏡を破壊したかった でも決めたんだ一生向き合う/ち_い_く_ぼ
雨が来る猫でわかった行動で昔ながらの気象予報士/あとやく
たどりつく俺の伝記の後書きに最終頁は感謝で埋めたい/短歌点
「好きなんだ、ブルーチーズ」という君に 好かれた私そばかす数える/萩原 アオイ
たどりつくもう終わりだと思ったら次の窓口案内される/とびら
新年度ネームプレート新調し社員証には別人がいる/とびら
憧れの蝶になれたはずなのに「誰かと思った」がこんなに寂しい/透明
終わらすな自信あるのは目だけなり隠すマスクに救われている/柳田ぽかぱん
たどりつく布団から出て玄関へ これを記念に春半ばとす/一筆居士
栂の木のつぎつぎ増える積読に潰れる棚の罪の重さよ/一筆居士
寂しさをラッピングしてリボンかけ ぶつけて 分かれこの重たさを/柳田ぽかぱん
黄砂降る街角歩きマスクする 君の瞳は笑ってなくて/落合絵美子
僕にしか見せない表情先輩の柔らかな笑顔を独占している/花澤あああ
垂れ下がり色素沈着シミと皺 生きた証を好きになれない/新新新
日常に溶け込む術を修行する おばけを映す鏡の色は/新新新
よく見えてなくてよかった 嘘をつく時いつもの癖が出ちゃうから/国見
月詠に影を落として筒まじく夫婦共に時計塔見て/田中ダニエル
蔓草が覆う階段途切れても昇る背中は静かの海へ/原田 冬
気付かずに見せたわたしのがらくたを掬い微笑む君の優しさ/ぱさ
背が伸びていくのは空に近付いていくこと少し死に向かうこと/萩原 アオイ
あのひとはあなたに似てる僕だけが気づけなかったさよならの目/カシサキスイ
強くなる欠けた部分を露出させ 地を響かす黄砂に吹かれて/はゆさく
人生は川のようだとつぶやいて流れていくよ私の魂(soul)/草流
ママ似からだんだん自分になっていく そしてふたたび母に似てくる/Makana
あの人も柄に似合わず生真面目で気苦労しては頭を合わす/アルト
イイねとかアクティビティなんかよりどうでもいい呪縛溶いて/はゆさく
春雨を蹴散らし走るこの電車乗客達はスマホか景色/とし
眠るよに逝ったあなたにくちづけを冷たい頬に温い涙が/あまおと
もう食べられるだけだから笑ってる甘酸っぱいパナップのソース/薄花
AIに頼んで付けた典雅なる藤野路を行く私の名字/藤本くま
カゲロウを弔うために澄んでいる 川の下流に住んでいる 我/萩原 アオイ
六畳間 酸いた記憶は遠のいて 思い出せない 笑いかたさえ/最終回少年
たどりつく日々はあの日の願い事叶ったようなつまらない日々/鳴海
子の心観て接するは愛し親僕の親たち見ようともせず/足軽猫乃心
ぼくらはね成りたくないの毒親に解毒していこ自分のために/足軽猫乃心
親だって毒親育ち解ってるだけどあなたは加害しないで/足軽猫乃心
またひとつ夢を諦め春雨は犀の背中に染み込んでゆく/柊琴乃
キシネンに 押され生きてる この命 己だけでも 守り抜きたい/足軽猫乃心
分かるかと ちいさい飛行機 指差した父と 見たのは あの雲だろうか/Hathu_Yuki
この日本酒が 好きだった 今夜は ひとり 酔いつぶれたい/洞窟おでん
3年も仮面舞踏会していたね マスクをとって正体あかそう/HOTATE IWAMI
ゴリラだと言われ泣いてた日々重ね そのかわいさにやっと気がつく/ち_い_く_ぼ
顔のない言葉で綴る思ひ達われもの注意スティッカーを貼る/奥 かすみ
薄墨の紗を掛けられた春の夜は立ち尽くす人も息がしやすい/何となく短歌
檻の外 いつまで待っても人間に ならないチンパンジーを見ている/萩原 アオイ
知る人は少ないだろう口元に小さなホクロがふたつ並ぶの/きいろ
そこが好きという訳ではなかったよ でも思い出すのはいつだって/ぶぎょう
口裂けるくらいだったら軽率に君が好きだ と大声で言う/萩原 アオイ
その先があることだけを知ったから カレンダーを数枚めくる/宮城直
黒板は黒くないとか言ったやつ 廊下に出ろとは言えない時節/新奈
三日月を「ほそい満月」と言う吾子の ものの見方に嫉妬するほど/萩原 アオイ
姑のテッパンふたたび炸裂すあたまのくろい鼠のはなし/まゆだま
我が娘ロッテと西武戦を見て「口(くち)ってどこのチームなの?」って/小タ
ふりふりと かわいいおしり ふるわせて 風呂上がりのきみ 九つになる/ばあちゃん
「楽しんでいただきたいです」漢字抜け あなたの終わりを謙譲で願う/えびらい
君にだけ特別な思い抱き見る 皆似たような凹凸なのに/何となく短歌
良し悪しを口にする君 その時の自分の表情鏡で見なよ/何となく短歌
幕張(まくはり)を バクチョウと読む 妻がおり Wi-Fiウィーフィーと 読む夫あり/📎あこちゃん📎
ヅラちゃうか? ヅラとちゃうやろ… ヅラやって! こっち見てるで… ずらかるでほら!/一筆居士
今日こそは目を離さずに見て欲しい頑張ったけど照れ屋な私/アルト
だまし絵のようだね君の言葉には 裏があったりなかったりして/何となく短歌
下階から君のリズムの足音が 聞こえる。速度を緩めつつのぼる。/何となく短歌
ヅカファンが 整然と並ぶ その前を ただ通りすがり オジサンが行く/📎あこちゃん📎
鏡みてそっとあしらうプレゼント気づいて欲しくて変な仕草/アルト
照れた頬、図星をつかれ知らないと頬を叩いて下手な言い訳/アルト
…to here knows when 羽(u) 旋回する羽(u) ここで 羽々(uu) いつかを 羽(u) 知るために羽々(uu) 3p/音羽
引越し、のワードがちょっと強すぎて君から目を逸せない夏/夏西マグマ
ヅカヅカと土足で荒らすキモ親父スマホの殻に閉じ籠るのに/小タ
DONQにてDQNと連呼する母の 浮世離れを娘がフォロー/ち_い_く_ぼ
つぶらなる 名を得て吾は ここにある 「好き」を愉しみ 「好き」に歌を詠む/ぴぃねぃ
痩せた手にそっと重ねて街眺め永遠に続くと思った笑みに/アルト
ずるずると 未だ引きずる 黒い澱 燃やし尽くして 灰色になれ/ぴぃねぃ
怖がりで頑固な君はシミュラクラ現象だよと熱く語った/高水りっか
「不細工」は差別で「きれい」はセクハラで ノーコメントの女が並ぶ/だいだい
不自然にならぬ程度に修正し若く綺麗な旅の思い出/薫子
木の上のコアラが餌を食べている 好きにやろうぜみたいな顔で/柊琴乃
ツケマツゲぼくの前では取るんだなこれはどういう意味なんだろう/森内詩紋
きみのその宝石のやうな双眸を漆黒の絹で隠しているのは/とひろ🛰
母苦戦フリック・スワイプ・ピンチイン老いた手に待つスマホの試練/一筆居士
街灯が灯らない夜表情が見えん電話もLINEもきらい/歩
「パパは居る?」客に扮したママゴトに「要らない」と言うこの幼子よ/ぴよこまめ
下を向く我を呼びとめ足元でにまっと笑ってきたヒメジョオン/Nowsiika
上向きの出来る期マインド錠(つぶ)にして処方したいよできない私へ/奥 かすみ
■『#短歌の日』参加作品(4月13日)
投稿いただいた作品は、音声での読み上げもさせていただいております。
【短歌朗読】作品紹介 4月13日分 https://note.com/tankanohi/n/n3bc7cd7e8192
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カーボンとチタンの庵に居士住まいオリンポス山朝夕眺む/宇津帆アルマ
買ったけど別れ話で味がせず舌は火傷でひりつくばかり/柚木青磁
母よりも先に死なないことくらいそれしか出来ない私の孝行/ハルカ
通院を終えて自分にごほうびをホワイトモカは生きてる証/ち_い_く_ぼ
シーツで踊った2人真夜中のお散歩微笑む息は空へと/ナルシマアンバイ
美人だと言われた事は無いけれど3日見てても飽きない私/お由美
ふたりしてふたを開け飲むカフェモカがモカと違うと知った遠い日/たんかちゃん
ホットからコールドになるコーヒーを季節を感じ嗜む自分/あとやく
グランデで頼んでみたい新しいメロンフラペチーノ飽きるかな/落合絵美子
カフェインが効きすぎるからデカフェかな…んん、この味わい珈琲っぽくねぇ/柳田ぽかぱん
君のため覚え始めたハングルで誘ってみるよ「스타벅스(スタボッス)」へと/tomotin
旅先でさ美味いと思ってその時に食べさせたいと思うことだよ/夏西マグマ
花丸をカップに描いて失敗を許してくれる人のいるカフェ/カシサキスイ
部屋の隅「あれはだあれ」と差す吾子にそっとジョージ・バークリを説く/萩原 アオイ
コーヒーを飲めない君がその店で机をはさむその人は誰。/国見
たどりつく海はさらさらあの人のやさしさみたく足の裏舐む/月草偲津久
飲み口の小ささだから火傷する我もてあまし寄りかかる午後/綿鍋和智子
ゆっくりと珈琲を飲むその訳はも少し君と一緒にいたい/ととまる
づくづくと痛みはつづく豆たちはくつくつ笑ううち茹であがる/原田 冬
朝夕のマスクと袖に残る春風に煽られ糸屑となる/はゆさく
コーヒーの熱さで目覚め気合い入れ今日も始まる歯車の我/t.t
もう少し横で見つめていたかったせめて桜が散り終わるまで/ぶぎょう
ソイラテのソイの部分に癒されてカフェインで又頭目覚ませ/HOTATE IWAMI
猫舌に優しくせえとフタ取れば、秒で冷めきるちょうどをくれよ/最終回少年
日差し避けベンチに座り一服し葉桜のした高き空見る/アルト
潮風に松の木聳え奮い立つ舞い散る種子を言の葉のせて/田中ダニエル
さくらのちるのがはやくてちいさなふじいろはなびらあわててさいた/一筆居士
大丈夫(じゃない)かっこが消えるまでホワイトモカはあまいまじない/歩
夜明け前手を振る父を見送るの私が描く旅立ちの船/はゆさく
注文は? 小さなバリスタテキパキと偽札受け取る今日も美味しいよ/奥 かすみ
要支援1号2号 朗(ほが)らかに互いの地雷 踏み合っている/ぴぃねぃ
コボちゃんだ 小さく言って 黙ってる愛しい妻のうなじは2ミリ/ぴぃねぃ
あのカフェは好きだから行くひとりでも君の事など思い出さずに/ぶぎょう
その顔があなたのならば揺れぬよう波立たぬよう能のあゆみで/清水水晶
旅先で日本語よりも外国語飛び交ってるが日本なんやで/とし
春霞太陽隠す南国の風や光を友に寛ぐ/とし
はらはらとそよげ炎を横にみてグレーの檻がレーゾンデートル/ょし
あんな奴忘れてやるよ真夜中のバッティングセンターラスト1回/草流
向日葵のようなひとにはなれないが明日もわたしは黄色を纏う/きいろ
づくづくと痛む心臓笑い合う貴方とあの子をずーっと見ていた/アサコル
夜きみの顔だけ見えて訳を知るたぶん僕とは違うメーカー/清水水晶
長すぎるアディショナルタイム判定を下すのはあなたただ一人だけ/透明
蹴鞠せし途端冷たき心枯れしかと受けるか我が遊びけり/田中ダニエル
チューしても反応鈍い😚💓💓なんかヤダ時々抱くと誰かの匂い/Lamiah
どうあったって行方不明になれなくて宛もないのに「ゆくえ」を名乗る/藤野ゆくえ
助手席で船を漕ぎだす私見てコンビニ休憩 コーヒー二つ/薫子
ぬりかべはトロンと人を見ているが飽きているからトロンとした目/小タ
さよならはホームランごと場外に消えていきます叫べあばよと/ひとひと
濡れ落ち葉そう言われぬよう頑張った夫2度目の大学卒業/📎あこちゃん📎
「電気消す?」それでも漏れる街灯がふたりの頬をほんのり照らす/あずり
汗だくで起きたのは朝の五時夢の凶器は君に握られていた/夏西マグマ
ぬいぐるみボフリと顔を埋めたる幼子よただ笑顔であれと/ぴよこまめ
だけを買い帰る途上にある車すべての窓に髪形が良い/𝘾𝘼𝙇𝙊𝙏𝙔𝙋𝙀
ドーナツのまんまる埋まる夢見てた土日過ぎてもたぶん見る夢/レーディ
十三の夜更け・あこがれ混ぜた鍋 半分食べた 半分捨てた/レーディ
鵺鳥の呻吟ふ喉笛射干玉の黎に満たされ泥濘と化す/一筆居士
貴方追いスコアブックが書けた夏 新規彦星オリ姫募る/小タ
ユニフォーム着る前のハグは震えてた私の記憶よあなたじゃなくて/えびらい
初めての黒星だったあの夜を消しちゃうほどの金星になる/ダブルート
こういうのみんなで飲むとすこしだけほんのすこしだけ家族ぽいキモチになる/宇津帆アルマ
塗りつぶし機能で肌のテクスチャを薄いブルーに染めて淫魔に/緋鳥見ねこ
どこまでか知らない道を記憶たどり望みあるのか明日もヤサグレ/crazy lover
青春にスタバがあればよかったなグランデ越しにあなたを見たり/藤本くま
私より試合優先そんなでも夢中な顔が好きだったんだ/カンバルガンバル
ほろ苦いキャラメルミルクなんとかが大学生活開始の味で/森内詩紋
残業で先輩に奢られるコーヒー苦手と言えずに飲むふりをした/花澤あああ
(作品ここまで)
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